前回お伝えした通り、アルカリカラーとは1剤と2剤を掛け合わせたカラー剤のことです。
1剤と2剤が、それぞれ「頭皮」と「髪」にどのような影響(ダメージ)を与えるか、解説していきますので、しっかりと理解していきましょう。
簡単に言うと、
✅1剤は「刺激とアレルギー」
✅2剤は「酸化(サビ・老化)」
が主なダメージの原因です。
《1剤の影響》
アルカリと染料によるダメージで、1剤の主なものが、
✅「アルカリ剤」→カギ(キューティクル)を開けるため
✅「酸化染料(ジアミンなど)」→色の素
です。
【髪への影響】
🔶キューティクルが開いたままになる
アルカリ剤で無理やりこじ開けられた髪のウロコ(キューティクル)は、完全に元通りには閉じにくくなります。
🔶中身が流れ出る
扉が開いたままの家から家具が盗まれやすいように、開いたキューティクルの隙間から、髪の内部にあるタンパク質や水分がシャンプーのたびに流れ出てしまいます。
🔶結果
髪の中がスカスカになり、パサつき、ゴワつき、ツヤの低下、色落ちが早いといったダメージに繋がります。
【頭皮への影響】
🔶アルカリ剤による刺激(化学やけど)
アルカリ剤はタンパク質を溶かす性質があるため、頭皮の表面(バリア機能)を傷つけます。
この現象について、皆さんは一度は経験しているかもしれませんよ!
思い浮かべてください。
キッチンなどにある「混ぜるな危険」と書いてあるハイターを使ったことありますか?
それ、手についたらどうなりますか?
手がヌルヌルしますよね!
それって液体がヌルヌルしているのではなく、大げさかもしれませんが、皮膚の表面が溶けているってことなんです!
これが、カラー中に頭皮にも起きていて「ピリピリする」「しみる」といった刺激(一種の化学やけど)の原因なんです。
🔶酸化染料によるアレルギー(かぶれ)
こちらが最も注意すべき影響です⚠️
1剤に含まれる「ジアミン」などの酸化染料は、アレルギー反応(アレルギー性接触皮膚炎)を引き起こす原因物質(アレルゲン)となります。
🔷症状
染めた直後〜数日後に、激しいかゆみ、赤み、腫れ、ぶつぶつなどが現れたりします。
🔷特徴
花粉症と同じで、一度アレルギーを発症すると、その後はジアミンに触れるたびに症状が出てしまいます。
《2剤の影響》
🔶酸化(ブリーチ)によるダメージ
2剤の主なダメージ源は、色を抜いて色を完成させる「過酸化水素」の酸化作用です。
【髪への影響】
🔶メラニン色素の破壊(脱色)
元の色(メラニン)を壊す作用は、髪のタンパク質(ケラチン)自体にもダメージを与えます。髪の内部構造が破壊され、弱くなってしまいます。
【頭皮への影響】
🔶酸化ストレス(老化の促進)
過酸化水素は、頭皮につくと「活性酸素」を発生させます。これは、鉄がサビたり、リンゴが茶色くなったりするのと同じ「酸化」を、頭皮の細胞で引き起こします。
🔶結果
切れ毛、枝毛、髪の強度の低下(ハリ・コシがなくなる)に繋がります。
頭皮の細胞が「サビる」ことで老化(エイジング)が促進されます。
髪の毛を作る「毛母細胞」や、髪を黒くする「色素幹細胞」が攻撃され、白髪や抜け毛、薄毛の一因になると考えられています。
また、頭皮の水分を奪い、乾燥を引き起こすこともあります。
《まとめ☝️》
2つが混ざると、ダメージは加速する。
実際には1剤と2剤を混ぜて使います。
これは、髪と頭皮にとって最も過酷な状況です。
【髪】1剤(アルカリ)で扉(キューティクル)が開いた状態で、2剤(酸化剤)が内部を攻撃するため、ダメージが髪の奥まで届きやすくなります。
【頭皮】アルカリの刺激と酸化の刺激が同時に加わり、さらにアレルギーの危険にもさらされます。
だからこそ、カラー剤を頭皮にべったりつけないように塗ったり、染めた後に「アルカリ除去」や「活性酸素除去」や「ジアミン除去」といった後処理をしたりして、ダメージを最小限に抑える工夫をしなければいけないんです。
これは、『美容室の値段はなぜ高いのか?』という理由にもつながってきます。
「ホームカラーでここまでしてますか?」
ってことなんですが…
おそらく答えは『No!』でしょう!
美容室によってもやってくれるところとやってくれないところもあります。
カラー専門店があの価格で提供できるのはそういうコストや手間を削減しているからできるんです。
こういったリスクと仕組みを知った上で、どんな選択肢を取るかは皆さんそれぞれの価値観があるわけですから自由です。
ただ皆さんは白髪をどうにかしたくて悩んでいるんですよね。
染めれば染めるほど増えるのだとしたら…他の対策を考えてみるきっかけとなれば嬉しいです。