多くの美容室では、カラーリングの際に「ハケ」を使って薬剤を塗布していると思います。
正直に申し上げますと、以前は私もハケを使っていました。
しかし、ある時気づいてしまったのです。
いえ、なんとなく気づいていながら、見て見ぬふりをしてきたと言ったほうが正しいかもしれません。
お客様からよく「カラーリングはどれくらいの頻度で染めるのがいいですか?」と聞かれます。
私は髪の負担を考え、大体2ヶ月前後を推奨しています。
しかし、白髪が気になる方は、1ヶ月以内で頻繁に染められることも少なくありません。
そうした頻度の高い方に多く見受けられるのが、「白髪の増加」「薄毛」「髪が細くなる」といった現象です。
もちろん、カラーだけが100%の原因とは限りません。
ですが、長年の経験上、薬剤が頭皮にベタっとつく塗り方と、これらのトラブルには強い相関関係があることは否定できません。
皆さんは「こうなりたい」「美しくありたい」という理想を叶えるために美容室に来てくださいますよね。
それなのに、美容室に行くことで逆に髪や頭皮を傷め、未来の美しさを損なってしまうとしたら……。
それはプロとして看過できない矛盾であり、私の責任放棄になってしまいます。
一般的にハケ塗りは、広範囲に素早く塗れるため効率的です。
しかし、効率を重視するあまり、お客様の頭皮に負担をかけているとしたら、それは本末転倒です。
刺激のある薬剤を地肌にたっぷりと塗り、約20分も放置することを想像してみてください。物理的に考えて、肌に良いわけがありませんよね。
「おしゃれは我慢」「しみるのは当たり前」とおっしゃる方もいますが、その我慢が、将来の細毛や薄毛を作っているとしたらどうでしょうか。
髪が細くなったからといって養毛剤にお金をかけるよりも、
「原因となる負担そのものを減らす」
ことのほうが何倍も大切です。
だからこそ、私は手間がかかっても「コーム」を使います。
コームの先端を使い、頭皮に薬剤を擦り込まず、髪の根元だけにピンポイントで乗せていく。
この技術には時間も手間もかかりますが、お客様の「5年後、10年後の髪」を守るためには絶対に必要なことだと考えています。
お客様の喜びが、私の喜びです。
一時の効率よりも、一生続く美しさを。私はそこにこだわります。